一番泣けた結婚披露宴

今まで、数多くの結婚披露宴に出席させていただきました。
友達や、上司、部下、大学のサークルの先輩など、それぞれに人生のドラマがあり、その人らしさが強く出ている結婚披露宴でした。
数ある披露宴の中でも、私が一番心を打たれ、泣けてきたのはすぐ下の妹の披露宴でした。
 我が家は両親と4人の子供がいる、6人家族でした。
小さい頃から両親の仲があまり良くなく、事あるごとに衝突をし、言い争いが絶えない夫婦でした。
喧嘩した後にすぐにケロッとしてくれればまだ良いのですが、最悪な事に、1週間でも2週間でもまったく口をお互い利かず、その度に間にいる子供達はビクビクして、親の顔色を伺う毎日を過ごしていました。
その代わり、兄弟同士の団結は強く、思春期の悩み事も、兄弟に相談していました。
 息が詰まりそうな実家から逃げるように、私は家を出て一人暮らしを始めました。
そして、今の主人に出会い、結婚式を挙げました。
主人の母が金銭的にも精神的にも支えてくれ、無事に披露宴を終えることが出来ました。
両親ももちろん出席してくれたのですが、その頃には、夫婦の亀裂は決定的なものになっていたようです。
一番下の妹が高校を卒業するのと同時に、私の両親は離婚を前提に別居生活を始め、2年後に調停離婚が成立する運びとなりました。
 その頃すぐ下の妹が、初めて結婚を意識する男性に出会いました。
妹は、男性に出会ったことで、大変優しくなり、顔つきも穏やかになりました。
常に彼の話をしてくれる妹の顔は、幸せそうでキラキラしていました。
程なくして、彼にプロポーズをされて、妹は結婚を決意しました。
そこに一つの問題が立ちふさがります。
両親が離婚してしまったため、出席してもらうことが難しいということです。
相手方のご両親は、大変仲睦まじく、そのご両親の間で育った彼も、また溢れるばかりの愛情を妹に注いでくれました。
ご両親も妹に対して、本当の娘のように扱ってくれました。
それが妹には引け目に感じる部分もあったようです。
結婚披露宴を行うことを決めた妹は、それぞれ実の両親の家を訪ね、頭を下げて出てもらえるようにお願いしました。
 挙式日当日になりました。
神前挙式を終え、ウェディングドレスを着た妹は、いつもより綺麗でした。
彼女の人柄をあらわすかの様に、たくさんの友達が彼女の披露宴に出席してくれました。
ケーキカット、来賓の挨拶、ちょっとしたミニゲーム、と出席者を飽きさせないように工夫されたプログラムの最後に、新郎、新婦より両親への感謝の手紙の朗読がありました。
 妹は、父と母を目の前にして、ゆっくりと、しかしはっきりした声で読み始めました。
お父さん、忙しかったお父さんだけど、休みの日になるといつもライオンごっこをして大きな背中に乗せて歩いてくれたよね、必ず運動会には出てくれて、大活躍してくれたよね。
私はとっても嬉しかったよ。
お母さん、幼稚園の頃に買ってくれたうさぎさんの絵本とぬいぐるみ、ぼろぼろになっちゃったけど、今でも捨てられないよ。
お母さんが私のために買ってくれた、はじめてのプレゼントだから、と。
離婚したことをまったく感じさせないような両親の涙。
私も号泣してしまいました。
本当に両親を大好きで、感謝をしていた妹の気持ちが、痛いほど伝わってきた、結婚披露宴でした。